詩【too late】
2005年1月16日 詩突然の雨に
コンビニで傘を買った
店員の女の子が
びしょ濡れの僕を笑った
「今更遅いんじゃない?」
そう思ったのかな……
突然の会議に
急いで資料を用意した
同僚のあいつが
慌てている僕を笑った
「今更遅いんじゃない?」
そう思ったのかな……
突然の別れに
精一杯の愛を訴えた
瞼を腫らした君が
悲しそうに僕を笑った
「今更遅いんじゃない?」
そう思ったのかな……
僕にとっては「突然」でも
気付かないうちに世界は回って
周りにとっては「遅い」のかな
こんなこと気付いた今でさえ
「今更遅いんじゃない?」
誰かにそう言われそうだ
ああ、神様どうか
あの子の笑顔を僕にください
「あの子の心をください」なんて
そんな贅沢は言わないから
だから、神様どうか
あの子の笑顔を僕にください
両想いまでの道のりは
自分の力で乗り越えるから
僕に対して満面の笑みで
笑いかけてくれるようになったら
そこからは僕が自分の力で
一生懸命頑張るから
どうか、ほんの少しだけ
臆病な僕の願いを叶えて
あの子の笑顔そのひとつで
僕は勇気と自信が持てるから
君に恋をして
心についた
恋の傷は
今、少しだけ
癒されようとしている
それは君への想いが
薄れたからじゃなくて
素直な気持ちに
向き合えた
そんな自分を
誇りに思えるから
「どれがいい?」
雑誌を広げて僕に問いかける
髪を切りに行くらしい
新しいヘアスタイルの相談だ
「どれがいい?」
雑誌を広げて僕に問いかける
下着を買いに行くらしい
僕の好みを訊いてきた
「どれがいい?」
雑誌を広げて僕に問いかける
お菓子作りを始めたらしい
簡単そうなプリンを選んだ
「どれがいい?」
雑誌を広げて僕に問いかける
今年は浴衣を着るらしい
君の好きな桜柄を選んだ
「どれがいい?」
雑誌を広げて僕に問いかける
訊かれるたびに考える
君の好きなものは?
君が喜ぶものは?
「ほんと好みが一緒よね」
喜ぶ顔が大好きだ
詩【My Room】
2005年1月16日 詩歯ブラシが1本に減り
ベッドの枕もひとつに減った
君専用の鏡台が消え
君の好きなぬいぐるみも消えた
沸かすお湯の量が減り
テレビで笑うことも随分減った
君が使っていた食器が消え
君の作ったMDも消えた
守るべきものへの意識が減って
君は僕の前から姿を消した
君のものが無くなって
からっぽな感じ 僕の部屋
今はもうない 僕らの部屋
君が誰を見ているのか
君が誰を想っているのか
君を見つめて君を想う僕には
すべて分かってしまうんだ
切ない片想い
叶わないという思いが
胸の中にどっかりと居座って
君を見る度に確信となって僕を襲う
アイツと話をする君は
いつもより声が高くなる
ちょっと頬が赤くなって
照れたように笑うんだ
こんなに近くで君を見て
君を想う僕に気付かずに
アイツに頭を小突かれて
真っ赤になって照れる君
アイツに向けられた明るい声が
僕の耳に残って消えずにいる
そんな君を見ていると
臆病になって好きだと言えない
切ない片想い
叶わないという思いが
胸の中にどっかりと居座って
君を見る度に確信となって僕を襲う
泣きながら部屋を飛び出した
小さくかよわい君の背中を
僕は黙って見ていたんだ
足がすくんで動けなかった
追いかける資格がない気がして
腕をつかんで引き止めて
力強く抱きしめてやるほど
強引にはなれなかった
何に対しても不器用な僕は
恋愛に対しても不器用で
人に愛される自信もなく
人を愛する勇気もなかった
君は気付いていたんだね
僕の愛が足りないことを
不器用に空回りすればするほど
君を傷つけていたんだね
飛び出した君を追いかけられず
最後もやっぱり傷つけてしまう
「ごめんね」と謝ることさえも
不器用でうまく伝わらない
詩【君の愛は大きくて・・・】
2005年1月16日 詩君からもらった頭痛薬は
少し大きい錠剤で
一気に飲み込んだけれど
喉の奥に残留感が生まれた
君からの愛の告白は
ストレートで力強くて
押しに負けて応えたけれど
心の奥に違和感が生まれた
君からもらったマフラーは
赤い毛糸の手作りで
言われるままに使ったけれど
肌の奥がチクチクした
君からの別れの言葉は
悲しいくらいに痛々しくて
反論もせずに頷いたけれど
胸の奥がチクリと痛んだ